アパート経営は「土地あり」が有利?【実際2棟建てた大家が解説】
こんにちは。2代目大家のジューニョです。
このサイトではアパートやマンションの賃貸経営を相続した大家さん向けに、満室経営のためのノウハウを発信しています。
アパート経営は「土地あり」の方が有利なの?
「土地あり」のメリットとデメリットが知りたい
「土地あり」アパート経営で成功するためのポイントは?
今回は「土地あり」で2棟のアパートとマンションを建築した現役大家の僕が、上記のような不安や疑問を解決しちゃいます!
- 本記事でお伝えしたいこと
- 「土地あり」アパート経営のメリットはたくさんある(5つ紹介)
- 「土地あり」最大のデメリットは「立地を選べないこと」
- 「土地あり」アパート経営で成功するための5つのポイント
僕が大家業を継いだ時、全物件約40戸の入居率は90%以下でした。常に5戸前後は空室。
様々な空室対策の結果、満室を達成。年間通して入居率98%以上を維持しています。物件も増やして年間家賃収入は4,000万円から5,500万円に増やすことができました。
さて、賃貸アパートや賃貸マンションを建築する場合、もともと所有している土地に建てる「土地あり」と、土地を購入して建てる「土地なし」の2パターンがありますが、どちらが成功しやすいと思います?
普通に考えれば、土地購入費がいらない分「土地あり」の方が「土地なし」よりもさ収支的に有利になるはず、ですよね?
けど、実は必ずしもそうとは言えないんです。
今回は、その理由を分かりやすく解説しちゃうとともに、「土地あり」で失敗しないためにポイントもご紹介。
それではどうぞ!
・大手不動産ポータルサイトのwebプロデューサーを約12年
・不動産会社の代表取締役
・賃貸アパート・マンション・ビルの2代目大家
・年間家賃収入は約5,500万円
・宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士
アパート経営は「土地あり」が有利?結論:そうとも限りません
「相続で実家を相続したけど自分では住まないからアパートに建て替えて不労所得をゲットしたい。建物の建築費用だけで済むからアパート経営有利なんでしょ?」
日本は超高齢化社会真っただ中。相続件数も増え続け、上のように相続で土地を所有することになってアパート経営を検討している方も少なくないはず。
でも、ちょっと待ってください。
「土地あり」でのアパート経営は確かにメリットも大きいですが、同時にデメリットもあるんです。
そこを知らずにアパートやマンションを建てると、「こんなはずじゃなかった」となっちゃいますので、そうなる前に勉強しておきましょう。
「土地あり」アパート経営のメリット
まずはメリットから。主に以下の5つです。
- 土地の購入費がいらない
- 収支のキャッシュフローが良い
- 建物のグレードを上げられる・差別化できる
- 融資が受けやすい
- 検討する時間が確保できる
1、土地の購入費がいらない
やはりこれが一番のメリットですよね。
土地の購入費がいらないということは、建物を建てるためにかかる費用だけで済むということ。
利便性の高い土地だったりすると建築費よりもずっと高額になってしまいますし、土地購入時には印紙税、登録免許税、不動産取得税などの税金、仲介手数料などの費用もかかるので、土地代プラスαで費用がかかります。
その費用が不要なのは非常に大きいメリットです。
2、収支のキャッシュフローが良い
土地代が不要、ということは当然キャッシュフローが良くなります。
めちゃめちゃざっくり言うと、毎月手元に残る利益が多くなるということ。
簡単な計算式で表すと以下。
土地代がない分、ローン返済額が少なくて済むので利益が残りやすい、ということですね。
3、建物のグレードアップ・差別化で入居率を上げられる
本来土地購入に充てる費用を、建物のグレードアップに使うことができるのも「土地あり」のメリット。
賃貸経営は、数ある賃貸物件の中でいかに選んでもらうためにライバル物件にない差別化ポイントを作ることが成功への近道です。
例えば、外観や内装にお金をかけてデザイン性の高いものにしたり、エアコンやキッチンなどを設備のグレードをあげたり。最近だと在宅ワークのための造作デスクを設置するのも入居者に選ばれやすくなります。
ペット設備を充実させたペット共生型や、共用部にゴルフシミュレーターを設置したコンセプト型賃貸にするのもアリ。
このような付加価値をつけることで、ライバル物件よりも高い家賃でも入居希望者に選んでもらいやすくなるというわけ。
4、融資が受けやすい
賃貸アパートを建てようと思ったら銀行などから融資を受けることが多いと思います。
「土地あり」の場合、必要な費用は建物建築費だけなので借り入れの総額が少なくなり融資を受けやすくなります。
金利を優遇してくれる可能性もありますね。
5、建築会社やプランを検討する時間が確保できる
アパート経営のために土地を購入すると支出が発生するので、早くアパート建てて家賃収入を稼がなきゃ、となりがち。
「土地あり」の場合、急いでアパートを建築しなくても大きな支出のマイナスはないので(土地の固定資産税等はかかりますけど)、アパート建築で重要な建築会社選びや建物プランの検討に時間を使うことができます。
この初めの一歩をきっちり時間を取って考えられるかどうかで、アパート経営の成功率が大きく変わります。
土地購入してアパート建築する場合でも、しっかり時間を取りましょう。
「土地あり」アパート経営のデメリット
「土地あり」アパート経営のメリットを理解したところで、次はデメリットを。
「土地あり」でアパート経営するデメリットは、大きく分けると2つ。
ただし、この2つが非常にクセモノなデメリットで、アパート経営自体をあきらめた方が良い場合もあります。
何かというと「立地を選べない」ということと「法律によって建物プランに制限がかかる」ということ。
立地を選べない
アパート経営において最も重要なのは「どこにある土地か=立地」です。
例えば、
- 東京23区のはじっこ(失礼)の駅徒歩20分だけど、築3年の綺麗なアパート
- 麻布十番駅徒歩1分だけど、築30年の古めのアパート
どちらが安定的かつ高額な家賃収入が入ってくると思いますか?
いうまでもなく麻布十番駅徒歩1分のアパートですよね。
残念ながら立地によってはアパート経営をオススメできません。
にもかかわらず、土地ありの場合はアパート経営成功のために重要な条件である「立地」を選ぶことができないんです。(当たり前ですが)
これは本当に大きなデメリット。
所有している土地がアパート経営に向いてない場合は売却するなど、別の選択肢を検討に入れた方が良いかも、です。
法律によって建物プランに制限がかかる
用途地域(この土地は高い建物はNGですよなど)や、建蔽率(敷地面積の何%まで建物が建てられるか)、容積率(何階の建物を建てられるか)なども土地によって異なります。
土地を購入する場合であれば、計画しているアパートが建てられるのかは購入前に確認した上で進められますが、自分の土地の場合、調べてみたら想定していた部屋数や階数のアパートが建てられず計画断念、なんてことも。
「土地あり」アパート経営で成功するための5つのポイント
「土地あり」アパート経営にはメリットだけではなく、大きなデメリットもあるということがお分かりいただけたでしょうか?
土地を相続したからといって「やった!家賃収入で流行りのFIREだ!」と、何も考えずにアパート建ててしまったらまあ確実に失敗します。
でも安心してください。
要は計画を始める前に失敗するリスクを潰せばいいだけのことです。
僕は以下の5つを実践した上で「この計画ならOK!儲かる!」と結論を出せたので、土地ありでのアパートを2棟建築して経営してます。
- アパート経営の需要がある土地か調査する
- 建築会社は複数社から見積りを取る
- 管理会社も複数社を検討する
- 収支計画は硬めに読む
- 安易にサブリース契約はしない
1,アパート経営の需要がある土地か調査する
土地ありでアパート経営を考えた時にまず最初にすべきことは、賃貸需要がある土地なのかどうか調べることです。
でも、調べるの時間がかかりそうですよね。
そこで簡単に調べる方法は以下。
ハウスメーカーなどのアパート建築会社に「土地ありでアパート検討してるんだけど」と問い合わせてみればOK。
アパート建築会社は蓄積されたデータを基に、適切な間取りプラン(単身向けワンルームが良いのか、カップルや夫婦向けの1LDK以上が良いのかなど)や、エリア相場から適正な家賃などを分析して、収支計画のシミュレーションを提案してくれますよ。
ただし注意点。
アパート建築会社は「建ててもらう」ことが一つのゴールです。
なので、家賃が相場よりも高く設定されていたり、マイナス面が考慮されていなかったりと、現実よりも良く見せて提案してくることがあります。
なので、提案内容をすべて鵜呑みにせず、自分でも調べた上で判断できるようにした方がよいです。
家賃相場を調べるのにオススメなのはこちら。両方とも無料で使えます。
- SUUMO賃貸経営サポート|運営:株式会社リクルート
- 見える賃貸経営|運営:株式会社LIFULL
特に、不動産ポータルサイトのLIFULL HOME’Sを運営する株式会社LIFULLが提供する「見える賃貸経営」は、家賃相場だけではなく、エリア別に賃貸入居者が希望する間取り、希望家賃、希望広さ、築年数や駅徒歩なども把握することができるので、時間がない方も一度は見ておいた方が良いですよ!
2,建築会社は複数社から見積もりを取る
上で書いたようにアパート建築会社から建築プランや見積もりをもらう場合ですが、必ず複数社に問い合わせをしましょう。
なぜかというと、同じ工法でも会社によって見積もり金額も建築プランも大きな違いがでますし、営業担当も優秀かどうかはもちろん、相性もあるから。
僕は自宅を含めるとハウスメーカーで3棟建てていますが、最終的には営業担当との相性で決めてます。
少なくとも数か月は何度も打ち合わせを重ねることになるわけで、「一緒に仕事がしたい」と思える人でなければ、ベストなアパート作りはできないと考えているからです。
アパート作りの成功の秘訣は、良いパートナー(建築会社)に出会えるかどうか、です。
複数社に問い合わせてみて、ぜひ相性の良い営業担当を探してみてください!
でも複数社に問い合わせするのって面倒ですよね。
一回の問い合わせで済ませたいなら以下のサービスがおすすめです。もちろん無料です。
タウンライフ アパート経営特集|運営:タウンライフ株式会社
大手ハウスメーカーや地元密着の工務店まで幅広いアパート建築会社に一括で問い合わせが可能です。
建築プランや収支計画書、その土地に需要があるのかが分かる市場調査書などももらえます。
ただ、当然ですが問い合わせしただけではこのような提案書は送ってもらえません。
もらえるのは各建築会社の営業担当と面談して、要望や条件などを伝えた後ですね。
なので、一度に10社や20社に問い合わせすると面談だらけで大変なことになっちゃいますので、社名を知っているとか、大手に絞るなどして、まずは3~4社の問い合わせから始めてみるのが良いかと。
≫【完全無料】タウンライフ アパート経営特集で複数社から見積りもらいたい方はコチラ
3,管理会社も複数社を検討する
アパートの管理を自主管理ではなく管理会社に任せる場合は、管理会社も複数から管理の見積りをもらった方がよいです。
その理由は、会社によってサービス内容や管理手数料(だいたい家賃の3%~8%が相場)が違うというのもありますが、複数の管理会社からも想定家賃を出してもらえるから。
アパート建築会社も管理会社を兼ねているところが多いんですけど、管理専門の会社からも提供してもらうことで、より情報の確度が増すというわけ。
僕はいつもアパート建築会社から収支計画を提案してもらうタイミングで、普段お世話になっている管理会社からも想定家賃を提案してもらってます。要はセカンドオピニオンですね。
4,収支計画は硬めに読む
アパート建築会社に問い合わせすると収支計画書をもらえます。
初期投資(建築費や税金、保険料や解体費など)、毎月の家賃収入、毎月の支出(管理費や税金)なんかが記載されていて、だいたい30~40年間分のシミュレーションになってます。
これによって毎年どのぐらいの利益が手元に残るかが分かります。
ただ上でも書きましたが、この収支計画は実際よりも数値を良く見せて提案してくることが多いです。建築会社の営業担当は建ててもらうのが仕事ですから、ちょっとでも儲かるように見せたいわけですね。
具体的には以下の項目が甘めなことが多いので、特に注意が必要です。
空室控除分
空室が出るとその部屋の家賃収入は0になりますから、それを想定して収入からマイナスします。アパートの規模によりますが、僕は最低でも10~15%はみて計算しなおしています。
ちなみに、株式会社タスが発表している「賃貸住宅市場レポート 首都圏版・関西圏・中京圏・福岡県版 2022年6月」によると2022年時点で東京都全域の空室率は10.89%とのこと。
地盤補強工事費
一般的には工事発注後に地盤調査をしますが、地盤によっては杭を打つなどの補強が必要になります。
ちゃんとした建築会社であれば最初から計上してありますが(補強が不要だったら費用はかからないです)、見積もりに記載があるかどうか確認しておきましょう。
下手したらあとから数百万円上乗せされて利益が減っちゃった、なんてことになります。
原状回復工事費
入居者の退去が発生すると原状回復工事をする必要が出てきます。
不注意で床に傷つけちゃった、など入居者に責任がある場合は原状回復費用は入居者負担ですが、それ以外は原則大家が負担する可能性が高いです。
退去数はアパートの規模によるので費用もケースバイケースですが、毎年どのぐらいの退去者が発生する前提でシミュレーションしているのか、建築会社に確認しましょう。
家賃下落分
新築時は相場よりも高い家賃でも入居が決まることが多いです。そのため収支計画書でも少し高めに設定してあることが結構あります。
しかし、10年20年も新築時と同じ家賃で入居してもらえるかというと、そんな嬉しい話はまずないです。
同じエリア、同じ建物条件の物件の家賃相場を築年数ごとに比較してみて、収支計画書にある10年後20年後の想定家賃が妥当かどうか確認しておきましょう。
ここでも以下のサイトが役に立つので再掲しておきますね。
- SUUMO賃貸経営サポート|運営:株式会社リクルート
- 見える賃貸経営|運営:株式会社LIFULL
5,安易にサブリース契約はしない
アパート経営をするには以下の3種類の方法があります。
- 自主管理
- 管理委託
- サブリース
上記の3つですね。
この中で特に注意したいのがサブリース契約。
管理会社に家賃の10~20%程度を手数料として支払う代わりに、管理を全て丸投げできて、かつ、空室が出たとしても一定の収入は保証される、という契約です。
これだけ聞くとすごくいい話じゃないですか?
大手のアパート建築会社で建築すると、グループ会社の管理会社でのサブリース契約を提案されることが多いです。
少し前の調査になりますが、所有物件すべてをサブリース契約にしている大家さんは全体の4割近くにのぼります。
サブリース契約にはメリットもありますが、大きなデメリットもあるのでトラブルになることもしばしば。
※詳細は別記事で解説予定です
管理会社から家賃減額請求が来て赤字になってしまったり(管理会社は借主なので家賃減額は違法じゃないです)、2018年の「かぼちゃの馬車事件」のように不動産会社が経営破綻して家賃収入が入らずローンが払えなくなって・・といった例もあります。
ただ、サブリース契約が悪かというと、決してそういうことではありません。
どの方法がベストかは人によりますので、提案を鵜呑みにするのではなく、自分で情報収集をして、自分で判断できるようにしましょう。
まとめ
本記事では、以下の内容について解説しました。
- 「土地あり」アパート経営のメリットはたくさんある(5つ紹介)
- 「土地あり」最大のデメリットは「立地を選べないこと」
- 「土地あり」アパート経営で成功するための5つのポイント
「土地あり」でのアパート経営は有利なこともありますが、その土地がアパート経営に向いていない場合もやっぱりあります。
よく勘違いされますが、賃貸経営は楽して収入を得られるものではありません。
事業である以上、大家さんは経営者です。
「土地あり」アパート経営に限らず、自分自身で情報収集し、判断する能力が求められます。
僕自身もまだまだ知らないことだらけで勉強の毎日ですが、満室経営に向けて一緒に頑張っていきましょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
ではまた。
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