賃貸経営でエアコン故障したら家賃減額しなきゃダメ?【しなきゃダメです】

アパート経営が地獄になる理由とは?
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こんにちは。2代目大家のジューニョです。

このサイトではアパートやマンションの賃貸経営を相続した大家さん向けに、満室経営のためのノウハウを発信しています。

初心者大家さん

賃貸アパートのエアコン故障すると家賃減額しなきゃいけないって本当?
どのぐらい壊れたら、どのぐらい減額するべき?
他にも減額しなきゃいけないケースが知りたいな。
家賃減額トラブルやクレームを回避する方法ってある?

二代目大家ジューニョ

今回はこのような不安や疑問を解決しちゃいます!

  • 本記事でお伝えしたいこと
  • 賃貸でエアコン等の設備が故障したら家賃減額しないとダメです【民法改正】
  • 家賃減額しなくてもいい場合もあります
  • 設備が故障した時にどう対応すればよいのか?ケーススタディで解説
  • 大家として気をつけること【トラブル回避】

さて、2020年の民法改正で賃貸経営に関係する法律も色々変わりました。

恥ずかしながら僕も把握できていなかった部分があり、改めて勉強し直したので備忘録をかねて、分かりやすく解説したいと思います。

今回の内容は法律知識なので知らないと入居者とのトラブルになる可能性もあります。数千円の家賃減額をしなかったために、退去されちゃって数か月空室になったら数十万円の損失ですよね。

そうならないのためにしっかりと理解しましょう。(僕自身もですが)

それではどうぞ!

二代目大家ジューニョのプロフィール

・大手不動産ポータルサイトのwebプロデューサーを約12年
・不動産会社の代表取締役
・賃貸アパート・マンション・ビルの2代目大家
・年間家賃収入は約5,500万円
・宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士

目次

賃貸経営でエアコン故障したら家賃減額しなきゃダメ?結論:しなきゃダメです。

2020年に民法が改正されました。
本記事では民法第611条「賃借物の一部滅失等による賃料の減額等」の改正点を取り上げます。

ざっくり言うと、賃貸アパートやマンションでエアコン等の設備が故障して使えなくなったら家賃を減額しないと法律違反になっちゃうよ、というのが改正点。

詳しく説明していきます。

どこが変わった?改正前と後を簡単に比較

まず、民法第611条の改正前と改正後の条文を比較してみましょう。

【改正前】
賃借物の一部が賃借人の過失によらないで滅失したときは、賃借人は、その滅失した部分の割合に応じて、賃料の減額を請求することができる。

【改正後】
賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、それが賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、賃料は、その使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて、減額される。

「減額を請求することができる」が「減額される」に表現が変わってますが、何が違うのかよく分かりませんね。
言い回しが難しい法律の条文あるあるです。

めっちゃ簡単に言うと以下。

入居している部屋のエアコン等の設備が壊れて使えなくなった時に、

【改正前】入居者は大家さんに対して、その分の賃料を安くして!と言える 
【改正後】大家さんは、入居者に言われなくてもその分の賃料を減額しなきゃいけない

ということです。

我々大家さんにとってはよりシビアになった印象。

入居者からエアコンが壊れたから直してって言われたけど、直さければいけないって書いてないから放置、みたいな大家さんが少なからずいたんでしょうね。

年々暑くなっている真夏にエアコンが壊れて何日も放置されたら命に関わりますし、借主保護のためには当然の改正かなと個人的には思います。

そもそも入居者からすると、設備が使えなくなると想定していた暮らしができなくなるわけで、法改正されなかったとしても家賃減額ではないにしろ、何らかの対応はあってしかるべしですよね。

家賃減額しなくても良い場合はあるの?

設備等が使えなくなった場合は全て家賃減額しなきゃいけないかというと、もちろんそうではありません。

公益財団法人日本賃貸住宅管理協会が定めた貸室・設備等の不具合による賃料減額ガイドラインによると以下の通り。

  • 入居者の善管注意義務違反に基づく不具合は除く。
  • 台風や震災等の天災で、貸主・借主の双方に責任が無い場合も賃料の減額が認められる。ただし、電気・ガス・水道等の停止が貸室設備の不具合を原因とするものでなく、供給元の帰責事由に基づく場合は、この限りでない。
  • 全壊等により使用及び収益をすることが出来なくなった場合は、賃貸借契約が当然に終了するため、ガイドラインの対象外である。

簡単にまとめると以下。

入居者が原因で壊しちゃった場合や、電力会社が原因で電気が止まった場合、地震などで建物自体が住めなくなっちゃった場合などは家賃減額しなくてもいいですよ、ということですね。

設備が故障した時にどう対応すればよいのか?ケーススタディで解説

減額対象となる設備一覧と具体的な減額金額【ガイドライン】

家賃減額しなきゃいけなくなったのは分かったけど、ではどういう場合にどのぐらい減額しなくてはいけないのでしょうか?

実は、改正された民法では「どのくらい壊れたらどのくらいまで減額するか」は定められていないんです。

じゃあどうするか?

実際対応する際は上でも記載したガイドラインを参考にしましょう。
公益財団法人日本賃貸住宅管理協会が定めた貸室・設備等の不具合による賃料減額ガイドラインです。

ガイドラインに沿って、実際の対応手順を解説します。

まずはガイドラインのA郡に該当するか確認

設備等の不具合を発見した、もしくは入居者から報告がきた場合、まずはA郡に該当するのかを確認しましょう。
該当した場合、A群の賃料減額割合・免責日数を基準に金額を算出します。

【A郡】

状況賃料減額割合免責日数
電気が使えない40%2日
ガスが使えない10%3日
水が使えない30%2日

※免責日数とは
設備故障の場合、業者さんを呼んだりと準備が必要なので、その分は賃料減額に含みませんよという日数のこと

A郡に該当しない場合はB郡に該当するか確認

A郡に該当しない場合は、以下のB郡に該当するか確認し、該当すればB群の賃料減額割合・免責日数を基準に金額を算出します。

【B郡】

状況賃料減額割合免責日数
トイレが使えない20%1日
風呂が使えない10%3日
エアコンが作動しない5,000円(1か月あたり)3日
テレビ等通信設備が使えない10%3日
雨漏りによる利用制限5%~50%7日

ケーススタディーで家賃減額を計算

減額する家賃の計算式は以下になります。

(賃料 × 減額割合)×(使用できなかった日数 - 免責日数)÷ 当月日数

以下の2つのケースで実際に計算してみましょう。

  • ケース

【状況】
月額家賃70,000円 電気が5日間使えなかった場合

【計算式】
70,000円×40%×(5日ー免責2日)÷ 月30日=2,800円の減額

  • ケース

【状況】
月額家賃70,000円 エアコンが7日作動しなかった場合

【計算式】
B郡に該当
減額割合5000円×(7日ー免責3日)÷ 月30日=666円の減額

うーん。なんか思ったよりも金額が少ないですよね。

エアコンが7日動かなくて666円で入居者は納得するのか?

あなたが入居者で、真夏にエアコンが7日間も使えなかった時に「666円家賃減額します」と言われて納得しますか?
僕なら納得しません。下手したら命に関わることですから。

ガイドラインはあくまで目安に過ぎず法的拘束力もありません。

大切なのは大家としての「誠意」だと思います。
迷惑をかけてしまって申し訳ないという気持ちや、一日でも早く修理できるように行動するスピード感など、そういった気持ちを持って対応するのが一番大事です。

その上で必要であれば金銭的な補償を提案し、入居者と協議して納得してもらえる対応をするべきですね。

設備故障による家賃減額トラブル回避のために大家として気をつけること

大家として気をつけること【トラブル回避】

本記事で書いた設備故障による家賃減額は、ネットで検索すると情報が結構出てくるので、民法改正のことを知っている入居者も少なくないはず。

あってはならないことですが、設備が壊れたと言えば家賃減額してもらえると思い、「実は半年前の1か月間、エアコン壊れてたから家賃減額してよ」なんて、言ったもん勝ちで請求してくる入居者もいるかもしれません。

誠意が大切と書きましたが、事実を確かめようのないことに対してすべて対応することはできませんよね。

そういったトラブル回避のために、例えば以下の対策をしておくのをおすすめします。

  • 賃貸借契約書に家賃減額の基準を記載しておく

前出のガイドラインを基にした家賃減額の計算基準を、あらかじめ賃貸借契約書等で定めておくのがいいかと。
対象となる設備、免責日数、減額割合などですね。

また、上で書いたような真偽を確かめようのない過去の設備故障に対して請求されないように、「該当の設備が使用できなくなった場合は〇日以内に通知する」のように、期限を決めるのも良いと思います。

管理会社を入れている方は、まずは担当者と相談してみましょう。

管理会社を入れていない大家さん、新しい管理会社を探している大家さんは「【脱・失敗】信頼できる賃貸管理会社の探し方と選び方とは?」も参考にしてみてください。
僕なりの失敗しない管理会社を探し方を解説しています。

  • 原状回復工事の際に耐用年数を超えた設備を交換する

耐用年数を超えても使える設備がほとんどなので見極めが難しいところですが、退去後の原状回復工事のタイミングで設備を確認し、耐用年数を超えているようであれば交換してしまうのもアリです。

余計な出費は避けたいところですが、例えばエアコンが壊れて対応が遅れてトラブルになり退去となった場合、原状回復工事や入居募集などの費用負担は、家賃によりますが10万円では収まらないはず。
空室期間の売上損失を入れるともっとマイナスです。

小さめのエアコンなら工事含めて10万円前後ですし資産にもなりますから、長期的に見ればプラスになりますね。

まとめ

本記事では、以下の内容について解説しました。

  • 賃貸でエアコン等の設備が故障したら家賃減額しないとダメです【民法改正】
  • 家賃減額しなくてもいい場合もあります
  • 設備が故障した時にどう対応すればよいのか?ケーススタディで解説
  • 大家として気をつけること【トラブル回避】

今回の民法改正は一見すると我々大家さんにとってはマイナスかもしれません。

ですが、大家業は入居者の皆さんに対して、住まいを提供するビジネスです。
入居者一人ひとりにとって、「価値もある暮らし」を提供する代わりに、家賃をもらっています。

設備故障によってその価値を提供できていないのだから、家賃は減額する、というのは僕は当たり前のことかなと思います。

そういった考え方を忘れずに賃貸経営を続けていれば、良い入居者が長く住んでくれるようになり、結果的に利益として戻ってくるはず。

最後まで読んでいただいてありがとうございました。

ではまた。

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この記事を書いた人

ジューニョのアバター ジューニョ 代表取締役

大手不動産ポータルサイトで12年webプロデューサーとして、新築分譲マンションと注文住宅領域のサイト運営に携わる。
現在は不動産会社の代表取締役を務めるとともに、賃貸アパート・マンション・ビルの2代目大家をしながらwebサービス開発を行っている。
2020年に自宅として二世帯の注文住宅を建築。
宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士。

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