アパート経営の経費で落とせるものって?現役大家実践の節税方法も公開
こんにちは!2代目大家のジューニョです。
このサイトではアパートやマンションの賃貸経営を相続した大家さん向けに、満室経営のためのノウハウを発信しています。
アパート・マンション経営で経費で落とせるものってなに?
逆に経費で落とせないものは?
他の大家さんが実践しているアパート経営の節税方法が知りたい
今回は現役大家の僕が、上記のような不安や疑問を解決しちゃいます。
- 本記事でお伝えしたいこと
- アパート経営で経費で落とせるもの11選
- アパート経営で経費で落とせないもの5選
- 現役大家の僕が実践している節税方法3選
この記事を読んでいるそこの大家さん、「アパート経営の経費、本当にうまく落とせてる?」って考えたことありますか?
アパート経営の成功を左右するのは「経費の計上方法」だと言っても過言ではないんです。
なぜか?
まず、利益=収入ー支出であり、経費は支出にあたります。
あなたが個人事業の場合は所得税や住民税等の金額、法人の場合は法人税等の金額が、利益額によって上下するからなんですね。
というわけで、今回はアパート経営における経費について。
「何が経費で落とせるの?」「逆に何が落とせないの?」「他の大家さんが実践している節税方法は?」という疑問がある大家さんはぜひ最後まで読んでみてください。
今日から落とせる経費が増えるかも!?
それでは、どうぞ!
・大手不動産ポータルサイトのwebプロデューサーを約12年
・不動産会社の代表取締役
・賃貸アパート・マンション・ビルの2代目大家
・年間家賃収入は約5,500万円
・宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士
大家業を継いだ後、様々な施策の結果、入居稼働率89.4%から99.5%に上げることに成功。※2023年9月時点
新規物件も増やし、年間家賃収入は4,000万円から5,500万円に増えています。
アパート経営における経費とは?
アパート経営経費の経費とは、アパート経営を行う上で必要不可欠な支出のこと。
経費の適切な管理は、アパート経営をより効率的にし、税金の負担を減らすことが可能なんです。
経費で落とせるかどうかの基準は?
アパート経営で「これ、経費で落とせるかな?」と考えるとき、大事なのはその支出が「アパート経営に必要かつ適切」なものかどうか、ということ。
例えば、修繕費や広告費など、アパート経営という事業に直結する出費。
でも、ここで注意!
領収書や契約書は大切にとっておかないと、後で「これ、本当に必要だったの?」って税務署に聞かれた時に困っちゃいます。
本当に経費で落ちるのか、領収書などの保存方法が分からず不安なときは、税理士などの専門家に相談するべきです。
アパート経営の経費として落とせるもの11選
では早速本題。
アパート・マンション経営で経費として計上できるものをご紹介します。
1,租税公課
「租税公課」とは、アパート経営者が国や地方自治体に対して支払う義務のある税金や公的な料金のことです。
例えば以下のようなものがあります。
- 固定資産税
- 都市計画税
- 不動産取得税
- 登録免許税
- 印紙税
- 事業税
2,損害保険料
アパート経営において、「損害保険料」は事故や災害といった予期せぬリスクから貴重な不動産を守るための不可欠な経費。
この保険に加入することで、火災、水害、盗難などのリスクに対する金銭的な保護を受けることができ、経営の安定と持続可能性を高めることができるんです。
主なものは以下。
- 火災保険
アパートが火災に見舞われた場合、再建費用が莫大な額になることがありますが、火災保険がこれをカバーします。 - 地震保険
日本は地震が頻発する国です。地震保険は、地震による損害が発生したときの経済的な負担を軽減します。ただ火災保険に付帯する形でしか加入できません。 - 賠償責任保険
入居者がアパートの施設内で怪我をした場合など、オーナーに賠償責任が生じる可能性があります。このリスクから身を守るために賠償責任保険が有効です。
さらに保険会社によっては、火災保険につける特約として「家賃収入特約」もあります。火災などで途絶えてしまった家賃収入をカバーしてくれる保険ですね。
あとは孤独死保険。アパートで死亡事故が起きた場合に、空室期間の家賃や清掃、遺品整理などの費用を補償してくれます。
3,管理修繕費・管理費
アパート経営において「管理修繕費」と「管理費」は、物件の価値を維持し、入居者に快適な環境を提供するために必要不可欠な経費です。
例えば以下が該当しますね。
- 管理会社に支払う管理委託料
- 共用部の清掃費用
- 共用部の電球交換
- 共用部の植栽管理費
4,減価償却費
アパート経営の場合、保有する建物や設備を減価償却することができます。
簡単に言うと、時間が経つにつれて価値が下がる(経年劣化)ので、1回で全額経費にするのではなく毎年ちょっとずつ分割して経費として落とす、ってこと。
ちなみに土地は経年劣化がないので減価償却はできないです。
建物の場合、減価償却費は建物の耐用年数に応じて計算されます。
法律で決まっている法定耐用年数は鉄筋コンクリートが47年、重量鉄骨造が34年、木造が22年。
建物設備の場合は法定耐用年数はだいたい15年と覚えておけば大丈夫です。
5,修繕費
アパート経営の場合の修繕費とは、保有する建物や設備の維持管理のための修理費用のこと。
例えば以下。
- 入居者退去後の原状回復工事(クロスの張替え、床の張替えなど)
- 外壁の塗り替え
- 屋上防水工事
- 居室内のトイレやドア、お風呂の修理
ただし注意!
修繕費はあくまで「修繕=元にもどす」を目的とするものだけが対象です。
これを資本的支出といい、上で書いた減価償却費として毎年分割で経費にしていってね、ということです。
6,交通費
サラリーマンの場合、業務で移動する際の交通費は経費になりますよね。
アパート経営もそれと一緒で経費になります。
例えば以下の場合の移動費が該当します。
- 管理物件へ行く時
- 打ち合わせのために業者さんの事務所に行く時
- 資材の購入のためにホームセンターに行く時
- 不動産セミナーや研修へ行く時
あげればキリがないですが、要はアパート経営のために必要な移動にかかる費用ってことですね。
ただし、私的な移動の費用は除外されるため、交通費の記録は詳細に分かりやすく残しておきましょう。
ちなみに僕の場合は記録を残しておくのが面倒なので、業務用とプライベート用、Suicaを2種類作って使い分けてます。
7,借入金利息
借入金利息とは、銀行や金融機関からの借入れに対して支払われる利子のこと。
このコストはアパート経営の初期投資や運転資金として必要な資金を借り入れる際の、いわば「レンタル料」とも言えるものです。
ちなみに、借入れの返済は借りているお金を返すだけなので経費にはならないです。
8,立ち退き料・解体費
新しいアパートを建築する場合、既存建物の入居者の立ち退き料や解体費が発生します。
これらの費用も基本的には経費にすることができます。
これらのコストを適切に管理し、必要な場合には税務上の控除を活用することが、投資効率を高めるカギとなります。
ついでに書いておくと、建物解体費には市区町村から助成金や補助金が出る場合があります。
詳しくは該当する市区町村に問合せみてください。
昨年東京都大田区にあるアパートの解体をしたのですが、木造住宅耐震化助成事業を利用して50万円の助成金を受け取ることができました。
9,接待交際費
ビジネスの世界では、人と人とのつながりを深めるために、食事をしたり、イベントを開いたりしますよね。アパート経営でも一緒です。
一見アパート経営に関係ないように見えますが、ここには「投資」が隠れてるんですね。
例えば、
- 仲介会社や管理会社との食事会
これは信頼関係を築くためのもの。次のビッグプロジェクトに繋がるかもしれません。 - 入居者向けのイベント
住んでくれてる人たちを大切にすることで、みんなが「このアパート最高!」って思ってくれて、長い期間住んでくれるかもしれません。 - 業界セミナーでの懇親会
自分の知識を広げるチャンス!そして、新しい友だちもできるかもです。
ただし、ここで大事なのは、「ルール」を守ること。
税務申告の時に、「これ、なんの経費?」って聞かれたら説明できる証拠をちゃんと持っていないといけません。しっかり領収書は保管して、ルールに則って使いましょう。
10,仲介手数料・広告料(AD)
アパート経営において、仲介手数料と広告料は不可欠な経費ですね。
アパートに入居者を紹介してくれる仲介会社に宅建業法で決められている金額を支払うのが「仲介手数料」、入居者向けに特別な広告を打った際に仲介会社に支払うのを広告料、いわゆるAD(エーディー)です。
2つとも物件を効果的に入居者に紹介し、高い稼働率を維持するための重要な投資ですね。
11,事務用品費・消耗品費・新聞書籍代・通信費
上記の費用は、アパート経営において日々の運営や管理、情報収集のために必要不可欠な経費です。
具体的には以下。
- 事務用品費
書類の整理に必要なファイルや、契約書の作成に使用する文房具など、オフィス運営に必要な小物用品の購入費用。 - 消耗品費
印刷用の紙やトナーといった、使い切りのオフィス消耗品の購入費用。また、清掃用具や電球などのアパートの維持に必要な物品の費用も含まれます。 - 新聞書籍代
不動産業界のトレンドや法律の変更点などを知るための専門雑誌や新聞の購読費用。これにより、市場の変動に対応しやすくなります。 - 通信費
インターネットのプロバイダー料金や固定電話・携帯電話の費用が挙げられます。特に不動産業界はまだまだ紙の契約書文化なので、書類を送る際の郵便代などもバカになりません。
アパート経営の経費として落とせないもの5選
続いては、逆に経費として落とせないものを紹介しますね。
1,アパートローン返済のうち元本部分
上の借入金利息でも書きましたが、アパートローンの返済は利息部分と元本部分に分かれます。
元本は言ってみれば借りた金を返しているだけですからね。
具体例を挙げておきます。
アパートを新築する際に金融機関からアパートローン融資を受け、年間で1,200万円の返済があったとします。
その内訳で1,000万円が元本で、残りの200万円が利息であれば、経費として計上できるのは利息の200万円だけ、ということですね。
2,所得税や法人税など
所得税や法人税などの直接的な税金は、経費では落とせません。
あれ?固定資産税とか不動産取得税とかの税金は落とせたのになんで?と思うかもしれません。
残念ながら所得税や法人税はアパート経営の利益に課されるものであり、経営活動とは別の範疇にあるため、経営の経費としての控除対象にはならないんです。
具体例的には以下。
- 所得税
アパート経営から得られる年間の収益に対して課される税金です。経営者個人の所得として計上され、これに対する税金は経費として控除できません。 - 法人税
法人としてアパート経営を行っている場合に課される税金です。企業の年間総利益に基づいて計算され、この税金自体を経費として計上することはできません。 - 住民税
アパート経営を行う個人または法人が支払う必要がある地方税ですが、これも直接的な経営活動とは無関係なため、経費としての控除は認められていません。
これらの税金は、経営活動の一環として発生する費用ではなく、アパート経営の結果に対する所得や利益に対して国や地方自治体が課すもの。
だからこれらの支払いを経営経費として落とすことはできないし、減税効果を得ることはできないんですね。
3,修繕積立金
アパートやマンション経営で避けて通れないのが大規模修繕工事ですよね。
使う金額が大きいので、修繕積立金として少しずつ予算を確保している大家さんも少なくないはず。
でも積み立ててるだけで修繕工事をしていないと、経費として落とすことはできないんです。
つまり、税務署から「ちょっとそれ、ダメでしょ!」って言われちゃうってこと。
なぜか?
考えてみれば当然で、実際に使ったわけではないので「ただの貯金」でしかないから。
貯金なのに経費で落とせちゃったらおかしいですよね。
もちろん積み立てたお金を実際の修繕工事に使った時点で経費として認められますよ。
(ただし修繕費or資本的支出として)
4,資本的支出と判断される修繕工事など
「修繕費」の部分でも書きましたが、おさらいです。
アパート退去後のクロス張替えなどの原状回復工事は修繕費として経費で落とすことができるんでしたね。
ただし、同じような修繕工事でも以下の場合は修繕費ではなく「資本的支出」と呼ばれ、数年かけて経費として計上(償却)していく必要があるのです。
- 修理や改良によって価値が上がる場合
- 固定資産がより長く使えるようになる場合
例えば・・・
- 部屋のブロックキッチンをシステムキッチンに交換した場合
ブロックキッチンというのは古い物件によくあるガスコンロを別に設置するパターンのやつですね。
それを一体型のシステムキッチンに交換してますから、グレード(=価値)があがった、と判断されるので資本的支出となります。 - 耐久性大きくアップした塗料を利用した外壁の塗装費用
耐久性がアップしてより長く使えるようになってますから、資本的支出となります。 - 給湯器から追い炊き機能付きオートバスへの交換費用
これも設備のグレードアップによる価値の向上ですね。資本的支出となります。
細かく説明すると長くなっちゃうので、ざっくりしか書きませんが、「これって修繕費?資本的支出?」と迷った時は以下を参考にしてみてください。
5,アパート経営に直接関わらない諸費用
最後はこれ。
当たり前といえば当たり前ですが、アパート経営に直接関係ない費用は経費では落とせません。
例えば以下。
- 個人的旅行の費用
たとえば、家族でハワイにバカンス!これ、楽しいけど、アパート経営とは関係ないですよね。
だから、経費としては認められません。 - 個人用の高級品購入
ブランドバッグや高級車なんかの個人的な贅沢品。
これもやっぱりアパート経営とは無関係。経費にはならないです。 - アパート経営と無関係なセミナー代
不動産とは全く関係ない、例えば料理教室や自己啓発セミナーに参加するのも、経費としては認められません。
だから、ポイントは「事業活動に直接的に関わるかどうか」。
それによって、経費として認められるかが変わってきます。
【実践中】僕が実際に節税している方法を公開
ここまで書いた経費で落とせるものは、もちろん僕は全部計上しているわけですが、さらに節税できる方法があるので解説しておきます。
顧問税理士と相談した上で、すべて僕が実践している方法ですよ!
1,自宅の携帯やインターネット代
プライベートの携帯で不動産会社と連絡したり、自宅のPCでアパート経営の調べものやメールしたりしている大家さん、少なくないはずです。
その携帯代やインターネット代、実は経費として落とせるって知ってましたか?
その方法は以下。
プライベートとビジネス利用の割合を分けて計上する方法を家事按分といいます。
按分のやり方としては、携帯電話やスマートフォンを業務で使用した時間や日数を記録しておいて算出します。
ただ、これ正確に計算するのは現実的に無理ですよね・・。
なので、おおよその使用割合を予め決めておいて、エビデンスとしてメモに残しておきましょう。
僕の場合は、携帯代・自宅のインターネット代、ともに「プライベート:6割 ビジネス:4割」で按分して計上しています。
「え、そんなの面倒だし、たいした額にならないんじゃ…」って思うかもしれませんが、月に5,000円でも年間60,000円、10年で600,000円の経費です。
アパート一部屋の賃料ぐらいにはなりますよね。
コツコツとした作業が大きな節税につながるんです!
2,スタバのコーヒー代
スタバに限らず、カフェで飲んだコーヒー代は経費で落とすことができるのを知ってますか?
ただし、カフェを利用した目的次第です。つまり、仕事で飲んだのなら経費になるということ。
例えば以下。
- 不動産会社との打ち合わせでの利用
- 仕事場所として一人でカフェを利用(食事やおやつはNG)
でも、スタバの領収書を持っていても、それが本当にアパート経営の仕事で使ったかどうか証明できないですよね。
そこで大事なのは「適切な記録」。
コーヒーを飲んだ日付、場所、参加者、そしてそのビジネスミーティングの内容をしっかり記録しておくことが、もし税務調査があったときの強い味方になります。
3,中小企業倒産防止共済
中小企業倒産防止共済(倒産防)って知ってますか?
倒産防止共済とは、取引先の倒産によって連鎖的に中小企業が倒産または経営難に陥らないようにする共済制度で、経営セーフティ共済とも呼ばれます。
掛金を納付することで、無担保・無保証人で掛金の最高10倍(上限8,000万円)まで借入れできるのが特徴なんですが、ここはあくまで保険としての使い方。
これは法人でしか利用できない制度なんですが、僕の場合は法人税率が上がる利益800万円ラインを超えそうな時に、この掛金を納付し節税しています。
しかも40か月分以上納めていれば、自己都合の解約でも掛金100%戻ってくるんです。
戻ってきた掛金は雑収入として税金がかかっちゃうので、大規模修繕など大きなお金が出ていくタイミングで解約すれば税金を抑えられるかも。
まとめ
- アパート経営で経費で落とせるもの11選
- アパート経営で経費で落とせないもの5選
- 現役大家の僕が実践している節税方法3選
最後まで読んでいただきありがとうございました。
ではまた。
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