【現役大家解説】生活保護者が家賃滞納!回収方法と事前対策3選
こんにちは。2代目大家のジューニョです。
このサイトではアパートやマンションの賃貸経営を相続したり始めたばかりの大家さん向けに、満室経営のためのノウハウを発信しています。
生活保護受給の入居者が家賃滞納!どう回収したらいい?
生活保護受給者に家賃滞納させないための対処法が知りたい!
生活保護受給者専用アパートを経営していた現役大家の僕が、上記のような不安や疑問を解決しちゃいます。
- 本記事で学べること
- 生活保護受給者が家賃滞納した時の回収方法が分かる!
- 家賃滞納させないための事前の対処方法が分かる!
「家賃滞納」
大家業をやっていて最も聞きたくない言葉の一つ。
満室経営してても家賃が入ってこなかったら意味がないですもんね。
家賃滞納が発生するとどうなるか?
家賃=売上が入ってこなくなるのは当たり前ですけど、さらにヤバいのは滞納が長期間になっても強制退去させるにはなかなか大変なこと。
退去しないと次の募集もできませんし、裁判するにしても費用と時間がめちゃめちゃかかります。
そんな最悪の事態になりたくないですよね?
ということで本記事では、生活保護受給者が家賃滞納した際の対応方法と、未然に防ぐための方法について解説します。
ちなみに、僕はまだ大家歴4年程度ですが、この記事で書いた予防策のおかげで一度も大きな家賃滞納トラブルは発生していません。
それでは、どうぞ!
・大手不動産ポータルサイトのwebプロデューサーを約12年
・不動産会社の代表取締役
・賃貸アパート・マンション・ビルの2代目大家
・年間家賃収入は約5,500万円
・宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士
大家業を継いだ後、様々な施策の結果、入居稼働率89.4%から99.5%に上げることに成功。※2023年9月時点
新規物件も増やし、年間家賃収入は4,000万円から5,500万円に増えています。
生活保護受給者が家賃滞納!どう回収すればいいの?
結論から言うと、生活保護受給者だからといって特別な回収方法はありません。
生活保護受給者には自治体の福祉事務所にいるケースワーカーという担当者が付くので、我々大家もトラブルがあったりすると、担当ケースワーカーに相談することはできます。
なので、通常の家賃滞納と同じように対応しなければいけないんですね。
じゃあ、どのように対応すればいいのか見ていきましょう。
生活保護受給者に限らず、一般的な家賃滞納の対応方法を解説します。
対応方法は、家賃滞納した理由によって変わる
賃貸借契約書では、通常は「家賃は前月末(前月〇日)までに支払う」となっていることが多いです。
つまり10月分の家賃の場合、9月30日までに払ってくださいね、ってことです。
ってことは払っていないまま10月1日になった瞬間に「家賃滞納」ってことになります。
じゃあいきなり督促状やら面倒な手続きやらが必要かというと、そうでもないので安心してください。
大きなトラブルにならない滞納理由3つ
- 振込み(口座に入金)を忘れてた
- 旅行などで忙しかった
- 期日を守る意識が低い
上記の理由であれば電話などで伝えればすぐ支払ってくれることが多いです。
上記理由の場合、いきなり督促状などを送ると入居者さんとの関係性が崩れるかもしれないので、やめておきましょう。
ただし、1日でも滞納した時点で電話等の連絡は入れるべき。
理由はルールに厳しい大家さん(管理会社)であることを入居者に認識させるため。
自主管理なら大家さん自ら、管理会社が入っているなら管理会社から、大至急入居者へ連絡しましょう。
いつも払ってくれるし数日ならいっか、と許していると、適当な理由をつけてズルズル滞納期間が伸びていくかもしれないですよ。
逆に以下の理由だった場合は滞納トラブルに繋がる可能性大
- 病気やお金がない等で払うことができない
- そもそも払う気がない
この2つだった場合は要注意です。
家賃回収方法を以下で解説しますので、大至急対応しましょう。
生活保護受給者に家賃滞納された場合の回収方法5ステップ
家賃滞納があったら翌日に電話連絡を入れましょう。
関係性によりますがプレッシャーになって揉める可能性もあるので直接訪問はやめておいた方がいいかも。
管理会社が入ってる場合は管理会社に依頼します。
それで連絡がつかなかったり払ってくれないようなら福祉事務所のケースワーカーに相談してみるのも手です。
滞納された回収まではやってくれませんが、ケースワーカーの方も裁判等のトラブルになっちゃうと困るので協力はしてくれるはず。
入居者本人から回収できればミッションコンプリートです。
回収できなかったらステップ2に進みましょう。
入居者本人から回収できない場合は、連帯保証人に電話等で連絡します。
連帯保証人とは、入居者本人と連帯して賃料等の支払い義務を負う人のこと。
入居者が賃料を滞納している場合には、連帯保証人にも請求することができ、原則として請求を拒むことはできません。
とはいえ、連帯保証人に連絡がつかなかったり、関係ない、と突っぱねられることも。
特に生活保護受給者の場合、連帯保証人も経済的に余裕がないことが多いです。
なぜか?
連帯保証人になるような親族が裕福な場合、経済的に頼れるということで生活保護受給の許可が下りないことがあるから。
連帯保証人が支払ってくれればトラブル解決ですが、ダメならstep3に進みましょう。
次は書面で督促状を送ります。
督促状は管理会社に聞けばひな形がありますが、自主管理の方は「家賃滞納 督促状 テンプレート」などでWEB検索すればたくさん出てきますので参考。
督促状には「支払い期限」を記載するのがマストですが、それでも支払いがない場合は連帯保証人にも督促状を送りましょう。
なお、step2で連帯保証人に電話連絡してますが、本人への督促状で支払ってくれない場合に初めて連帯保証人への電話連絡でも良いかもです。
それでもダメならstep4です。
本人、連帯保証人の督促状でダメなら内容証明郵便を送ります。
step3の督促状と違うのは「入居者さんが書面を受け取った証拠」が残るかどうか。
督促状は大家さんから「送った」という事実は残るんですけど、入居者さんが督促状を「受け取った」事実を証明できないんですね。
だから内容証明書郵便によって、いついつまでに家賃滞納分を支払ってくださいっていう書面、受け取りましたよね、という証拠を残すわけ。
内容証明郵便に書くことは督促状とほぼ同じですが、最終通告として、これで支払ってくれない場合は法的手段を取りますよ、ということを記載します。
入居者さんにプレッシャーを与えて「やべっ、払わなきゃ!」と思ってもらうことが狙いです。
それでもダメならstep5です。
ついにここまで来てしまいました。
ここから先は大家さんや管理会社だけでは対応できないので弁護士への依頼が必要です。
法律的な部分は僕も詳しくないのでここでは割愛しますが、立ち退きなど訴訟を起こす場合は必ず弁護士に相談しましょう。
滞納家賃を回収する際の注意点
家賃を滞納されているわけですから回収するのは当然なのですが、注意しないと逆にトラブルを加速することになるので、以下の行動には注意が必要です。
厳密にいうと管理会社は家賃督促できない
電話などで「家賃振り込まれてないので払ってくださいね」などと「連絡」するのは良いとしても、督促状や内容証明郵便を送る行為は債権回収業務になってしまうので、法律上管理会社では対応できません。大家さん自身でできない場合は弁護士に依頼しましょう。
大家さんは入居者とは直接顔を合わせない方がよい
これはあくまで持論ですが、家賃滞納などのトラブル解決は大家さん自らやらない方が良いと思います。理由は大家さんも入居者さんも感情的になりやすいから。間に管理会社等の第三者がいた方が緩衝材となってうまくいくケースが多いです。
あくまで僕の経験からの持論ですが。
家賃督促で以下の行動はNG
家賃督促といえど、以下行動は絶対にやめましょう。逆に入居者さんから訴えられる可能性があります。
・入居者さんの学校や勤務先に電話をかける
・ドアに張り紙する
・早朝や深夜に自宅に訪問する
・鍵を勝手に交換する
・荷物を勝手に撤去する
・連帯保証人以外に督促する(親族など)
家賃滞納させないための3つの事前対策
ここまでは、生活保護受給者に家賃滞納された時の対応方法について解説しました。
しかし重要なのは、そもそも家賃滞納をいかに発生させないか、ですよね。
次の3つの対策を行っておくことで、生活保護受給者の家賃滞納の可能性を限りなくゼロに近付けることが可能です。
- ケースワーカーとの情報共有
- 代理納付制度の活用
- 家賃保証会社の活用
1,ケースワーカーとの情報共有
入居前に生活保護受給者であることを確認し、担当する福祉事務所のケースワーカーとの情報共有を行いましょう。
入居者さんの過去の生活保護支給状況を把握することで、滞納のリスクを事前に把握することができます。
例えば生活保護受給の理由、支給されたお金の使い方などですね。
担当者によっては何も教えてくれない場合もありますが、家賃滞納などのトラブルがあると困るのは担当しているケースワーカーも同じはず。
ダメ元でもとりあえず担当ケースワーカーとは連絡が取れる状態にしておきましょう。
3,代理納付制度の活用
生活保護受給者の場合、自治体の福祉事務所が家賃を直接振り込んでくれる「代理納付」という制度があるので、それを利用すれば家賃滞納リスクはなくなります。
自治体によっては実施してない場合がありますが、まずは問合せしてみることをおすすめします。
≫東京都の福祉事務所一覧はコチラ
東京都福祉保健局-福祉事務所一覧
2,家賃保証会社の活用
代理納付をしていても保証会社は入居の必須条件にしましょう。
保証会社によって異なりますが、保証内容は家賃滞納だけではなく、万が一の際の訴訟費用、残置物処理費用、原状回復費用も保証してくれる場合があるんです。
ちなみに保証会社の費用も生活保護費の支給に含まれるので、必須条件にしても成約しずらくなるということはないかと。
特に生活保護の入居者が高齢だったりする場合は、孤独死保険を扱う家賃保証会社をおすすめします。
まとめ
本記事では、以下の内容について解説しました。
- 生活保護受給者が家賃滞納した時の回収方法、5のステップ
- 家賃滞納させないための事前の対処方法は、①ケースワーカーとの情報共有②代理納付制度の活用③家賃保証会社の活用の3つ
生活保護受給の入居者が家賃滞納した場合、適切な対応策を講じることが重要です。
さらに大事なのは家賃滞納を発生させないための事前の対策。トラブルが起きてしまうと、時間的、精神的、経済的に大きな損失になります。特に心がすごく疲れます。
そうならないために、しっかりと事前対策することをおすすめします。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
ではまた。
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